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唐沢 明
Akira Karasawa
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大学講師・作家
(著書30冊)

---2004年後期より---
・国際基督教大学マスコミセミナー講師
・一橋大学就職講座講師
・白百合女子大学就職講座講師
・日本女子体育大学マスコミ就職講座講師
・大正大学マスコミ就職講座講師
・東北薬科大学就職講座講師
・関西学院大学就職講座 (2005年1月13日〜14日合宿ゼミ)

-----以下継続中----- ・日本テレビアナウンスカレッジ講師
・大妻女子大学マスコミ講座講師
・中央大学マスコミ講座講師
・神奈川大学マスコミ講座講師
・大東文化大学マスコミ講座講師
・龍谷大学面接講座講師
・作新学院大学就職講座講師
・東横学園女子短期大学就職講師
・日本大学芸術学部マナー・インターンシップ講座講師
・東京国際大学マスコミ講座講師
・「5時から作家塾」塾長・作家

唐沢明のトマト赤デミー
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5時から作家塾

第23回 カルチャーセミナー 唐沢 明 2003年9月30日

【テーマ】
「働きながら、3カ月後に作家デビューする!」
〜働きながら文章を書く工夫から、出版社への売り込み方まで〜

【目次】

1.1つ目のドミノを倒す時
2.電車の中刷りで決めた、飯島愛さんのマネージャー
3.私はタレントであり、マネージャーでもありたい
4.時間とお金をかけてきたことの棚卸をする
5.出版業界のジンクス
6.A面とB面の二重生活
7.5時から作家になるための企画術、営業術
@書店A飲み屋B電車内C風呂場D寝る前E職場Fセミナー
8.唐沢明のドミノ式デビュー法。「アイディア」「ツール」「アタック」「セールス」
9.作家で成功するためには
10.作家になってから
11.どんなジャンルがいいのか
12.マメ人間のススメ。筆マメ、口マメ、足マメになること
13.Q&A
@サラリーマン、OLより、時間のある人の方が、チャンスがあるように思いますが。
A今でも落ち込むことはありますか? どういうふうにモチベーションをあげますか?
B新聞に載ったということですが、どういうふうに新聞社に売り込みをされたのですか?
Cフィクションにも応用できますか?
Dフィクションを書く場合、「常識」「企画力」「営業力」「文章力」は、順序が変わるのではありませんか?
E書かれているジャンルがバラバラですが、デメリットにはなりませんか?
F買い取りのお話がありましたが、具体的にはどういうことですか?
Gどういうセミナーへ行かれましたか?


【本題】

1.1つ目のドミノを倒す時

 私は今、作家と大学の講師をさせていただいておりまして、先週、京都の龍谷大学で講演させてもらい、延べ1,000人を超えました。非常に教えることが好き、書くことも好きで、今日は、働きながら、楽しんで3カ月後に作家デビューするにはというテーマで、お話したいと思っております。
 結論から言うと、誰でも本は出せるということです。こんな私でも本が出せたわけです。そのプロセスというのは、非常にドラマチックです。こんなことがあっていいのだろうかという、名づけて「ドミノ人生」です。ドミノが1つ倒れたら、後はダダッと倒れていったということです。
今日は、1つ目のドミノを倒す時ではないかと思っています。「5時から作家塾」の生徒さんを見ての感想もありますので、本当に3カ月後にデビューしてもらうために、厳しいことも若干、お話したいと思います。
 私の場合は、セミナーに行くとすぐ実行します。その日、セミナーでメモを取って、それを電車の中で読み、誰かに言って、すぐアクションを起こします。次の日、本屋さんに行く。出版社に電話をする。そこから始まると思いますので、時間がないというのは、多分言い訳ではないかと思っています。本を出す、生みの苦しみ、生みの喜びがありますので、私の本を読んでいただいたり、私の生徒さんだったりして、本を出した方もいますので、やればできるというのを今日は、知ってもらいたいと思います。

2.電車の中刷りで決めた、飯島愛さんのマネージャー

 私のプロフィールを簡単に申し上げます。私は、元々京都の大学に行っていましたが、3年で中退しました。あと1年で卒業できるという12月20日、その日の就職セミナーを取るか、東京の駒沢大学の編入学試験を取るかと考えた時、迷わず東京へ行きました。就職を断念し、1年浪人して、自分の好きな球団に行くことに決めました。マスコミにどうしても入りたかったのです。
就職氷河期で、不況なのに、さらに1年遅れるので、京都で3年過ごして、東京で2年過ごして、1年浪人していますから、なんと6年です。
 これは入ってからが大変で、作家もしていましたが、芸能界にも大いに興味があり、やはり東京でしかできないことをやろうというところで、親は反対。親戚も大丈夫なのか、どうするのかと。でも若い時しかできなので、後戻りできない自分を作りました。今考えると、よくあんなことをやったなと思いますが、当時の自分にはそれしかないという気持ちでした。1回、京都の大学を捨てたわけです。恋愛でいうと彼女を捨てたけれども、捨てた人とまた会っているというようなものです。
 この勢いで就職活動をがんばったところ、これもドミノ倒しのように26社内定をもらいまして、どこにしようかなというところで、東京書籍にしました。東京書籍は教科書業界の大手でしたが、そこを私の直感で辞めることになりました。辞めた理由が、電車の中刷りでした。電車の中吊りを見ると、「飯島愛、マネージャー募集」と書いてあったのです。京都にいた時から、飯島愛さんは、すごいオーラがあるなと興味を持っていました。これだ、俺の人生はこれから変わるぞと思いました。マスコミをやりたくて東京へ行ったのに、東京書籍にいた時は、営業で、学校回りをしていまして、給料35万円ぐらいもらっていましたが、ストレスで体を壊しました。35万円もらっているのですが、半分ぐらいは病院代に消えました。
 そして、飯島愛のマネージャーに受かりました。なぜ受かったのかというと、面接トークではなく、後から社長に聞いたのですが、面白い人と言われました。つまり現場では面白い人でないと、この業界は長続きしないというのがあったわけです。そして飯島愛のマネージャーも辞めて、ベネッセ・コーポレーションに移って、働きながら、7年間で16冊の本を出版させていただきました。

3.私はタレントであり、マネージャーでもありたい

デビュー作『マスコミ就職・内定の法則77』(唐沢明著/三一書房)を1997年に出版し、これも就職と同じで、1冊出れば、後はドミノのように倒れていきます。0冊だと作家とは言われません。1冊出すと作家なんです。
『敬語すらすらBOOK』(唐沢明著/成甲書房)は2003年に出版。左のページに間違った日本語、右のページに正しい敬語が載っています。これを出したところ3刷りいきました。本の後ろに奥付というのがありますが、第1刷というのが、出版した年、第3刷というのが重版で、これでようやくヒット。16人目にして成長できたということです。朝日新聞、週刊文春にも掲載されていて、これでいけるならば、『電話すらすらBOOK』『面接すらすらBOOK』と調子に乗ろうかなと思っております。
『10人の達人に学ぶ セルフブランドの創り方』(杉山勝行著/三修社)という本がありまして、どうやって自分のブランドを創っていくかという本です。会社ではなく、自分自身でブランドを作っている人、ベスト10というところで、私が最年少で掲載されていました。インターネットの方で、唐沢明と検索すると、今、300件ぐらい出るようです。私はタレントでもあり、マネージャーでもありたいなと思っております。
『マネーの虎!』(日本テレビ系)に出ていた、健康プラザコーワの臼井由妃社長が、『今から作家!』(唐沢明著/総合法令出版)を読んで、企画書の書き方を参考にして、出版社に持っていったそうです。私の本がきっかけになり、4冊の本を出版されるという、嬉しいことがありました。
私以上にヒットを飛ばしている方もいます。弟子が師匠を超える時です。

(お弟子さんの声:サラリーマン体験本で原稿を書いたのですが、どうやって出版社に持っていったらいいのかわからないと思った時、『今から作家!』が書店で目に入って読んだところ、日本には数百社の出版社があって、そのうち1社だけ出版しますと言ってくれればいい、という言葉に勇気が出て、31社に原稿を送って、そのうちの1社に決まりました)

 どうしてデビューできたかというと、やはりそれなりのファクターがあったということなんです。
 私が27歳の時に書いた、『マスコミ内定宣言』(唐沢明著/丸善メイツ)があります。働きながらでしたので、こんな男前なのに顔を出せず仮面をかぶりました。この本は、お金がかかったわりには売れませんでした。この本はどんな人が、出版社、テレビ局に、通っているか、落ちているかということを学生さんに取材して書きました。
私の本を読んだり、講演を聞いたりした方がデビューをしているので、次こそは皆さんの番にしてもらいたいなと思っております。今日は、本に書いていないことをお話したいと思います。

4.時間とお金をかけてきたことの棚卸をする

今日のメインテーマですが、どうやって本を出したのか。今、パソコン社会ですから、どうしても受身の情報です。こういうセミナーで聞く、書く、しゃべるという五感をフル回転した方がいいと思います。サブタイトルにあるように、私は最初、会社人間でした。飯島愛のマネージャーをしていた前後に、何かこのままでいいのだろうかと思ったわけです。飯島愛のマネージャーをした時に、いろんなクリエイティブな人を見てきました。作家、ライター、ディレクター。飯島愛さんに「男は28歳までに、俺はこれで生きるんだというものを見つけろ」と言われました。残り少ないなと思って、私はずっと日記を書いていましたから、28歳までに時間とお金をかけてきたことの棚卸をしようと思いました。
私は、NSC(吉本総合芸能学院)というのが東京にできるということで、吉本興業に弟子入りしました。大阪でしたら、ダウンタウンさんが1期生のところです。僕は掛け言葉が好きなので、芸名がジャマイカモンゴイカ。お笑いも勉強になりましたので、書くことが好きで、人前に出ることが好き。これが作家、講師に生きています。国語の成績が10点満点中3点なのに、作家になっていいのだろうか。いいのです。教員免許がないのに、私立大学で教えていいのだろうか。いいのです。つまり、「手に職」これをゲットすればいい、会社人間だけではいけないなと。やがて自分の未来日記は、世の中に出る人間になるのではないかなと直感しました。それで5時まで会社人。5時から社会人になろうと思い、「5時から作家塾」を作りました。
「5時から作家塾」の5大メリット。
@先生と呼ばれる。肩書きが付く。
Aやる気がでる。人生のレベルが上る。
B印税が入る。これは思ったより入りません。ヒットすれば印税生活。
C視野が広がる。世間の見え方が変わる。
D人脈が広がる。ネットワークが広がる。

5.出版業界のジンクス

 今日、来られた方は、印税生活狙いですか? しかし、最初からヒットはあまり期待しない方がいいと思います。大体、1冊どれぐらい刷るかというと、小さい出版社ですと、2,000〜3,000部。私のところは、5,000部ぐらいです。5,000部刷ったからといって、全部売れるかどうかはわかりません。しかも賞味期限があります。本屋さんに新刊が並びますが、たくさん入ったり出たりするので寿命があります。どれぐらいの賞味期限かわかりますか? 大体、働きながらですから、執筆に6カ月ぐらいかかりますので、本屋さんに置かれて、返品されるまでの期間は、1カ月ぐらいがいいところかなと思います。
 では、どうすればいいのか。出版社は営業をしたり、広告を取ったりしないといけない。それだけでもダメですので、どうするかというと、著者自ら、本屋に行かなければいけないのです。
 作家自身が営業します。自分でポップを作りました。これは出版社の方に見せると、「唐沢さんは営業もしてくれるのですか?」となります。普通、やるかと思いましたが、作家で営業をする方は少ないのです。
 実際、自分で営業をして注文を取ってきます。注文を取って、出版社に渡すと出版社も嬉しいわけです。もしくは自分で買う。自分で営業するという条件つきです。場合によっては買い取りもあるかもしれません。我が子ですから。出版は出産なんです。どうも子供に見えてならないのです。そうするとやはり売りたい。
 出版業界のジンクスがありまして、本屋さんに行って、自分の本を買っているお客さんを見ると、ヒットするというジンクスがあります。自分の本を目の前で、お客さんが買ってくださる。結構確立は低いです。やっと渋谷のスクランブル交差点を渡ったところの本屋さんで、『敬語すらすらBOOK』を買っているお客さんを見て、嬉しくなってどうしたかというと、学生さんだったのですが、声をかけてしまって、お店で声をかけると迷惑なので、お店を出るまで待っていまして、「すみません。これ、私が書かせていただいたものです」と、たのまれてもいないのに名刺を渡したり、サインをしたり。それぐらい嬉しいのです。
 自分で本屋の人に、「すみません。唐沢明だったと思うのですが、『敬語すらすらBOOK』はありますか?」「ああ」と答えが返ってきたら、売れているんだなと思ったり、電話で、「唐沢明の『敬語すらすらBOOK』が今、入荷していますか」など、小さい努力をデビュー当時からしていました。やっとここまでたどりつきました。これが初めての3刷りです。
 この前、京都へ行った時も、本屋さんへ営業に行きました。それは大学の講演があるから、ついでに来たと言ったらいけません。「東京から営業に来たのですが、ぜひ置いてください」と言ったら、15冊注文をいただきました。何が喜ぶかというと、ポップを渡すと書店の方も喜ぶし、出版社は、東京一極集中ですから、出版社の方も喜んでくれます。

6.A面とB面の二重生活

 不況の時代だからこそ、A面人生と、B面人生を作ろうと思います。A面はサラリーマン。スパーマンでいうと、仮の姿。タイムカードを押した瞬間に、マントを着る。B面は作家に変身。
 「よく働きながらやっていましたね」と言われますが、だって好きなんです。好きなものにはいくら忙しくてもやりますよね。5時まではどうだったかというと、5時から楽しい自分ライフが待っていますから、5時まで頑張るんです。コピー取りをしていても、電話を取っていても、何かヒントがあるんじゃないかなと、何か企画が、ラッキーチャンスが目の前に転がっているのではないかなというふうにすると、A面がB面に生きて、B面がA面に活性化されます。これは楽しい二重生活だなと思いました。A面は会社人。B面は社会人です。
 本を書こうと思ったのは、何といっても人間はいつ死ぬかわからないといったことだったのです。確かにお給料をもらっているといいますが、大切なのは、お金なのか、時間なのかと考えました。お金がないというのも困りますよね。でも、仮に僕が60歳まで何もしなかった、A面だけだとします。定年になりました。さあこれから何をしようと思っても、Passionは低空飛行だと思うのです。僕のスイッチが入ったのは、20代後半で、時間とお金だったら時間の方が大切かなと思いまして、B面を満喫しようと思いました。当時、大学を編入したもので、単位が足りないわけです。卒業できない。編入して、就職は決まったけど卒業できないとやばいじゃないですか。だから、単位を取りながら、アルバイトもしていました。5時からでもたくさんあるよと、若い時からインプットしていました。それで、やっていって、不況だからこそ手に職を持っておかないといけないなと。いくら肩書きがあって、部長、社長でも、リストラされてどうなる。肩書きはこれから崩れていくのではないかと思い、自分なりのブランドを作らないといけない。セルフブランドです。
 A面とB面の二重生活が始まります。これが非常に面白かったのです。

7.5時から作家になるための企画術、営業術

 ここから、いよいよ実践です。どうやって本を出していくのか。僕は10年勤めましたので、サラリーマン、OLを非難しているわけでは決してありませんが、スキルというのは、会社の中のスキルだったのです。会社の中では通用するけれども、いざ外に出ると、これは会社が変わるから、全然違います。本を書く、講師をするというのは、自分のスキルになりますから、1冊出しておけば、今後の不況だからこそ、会社にしがみつくのではなく、自分で何かないかなとアイディア捜すわけです。

@書店。
本を書こうとしているわけですから、そういう人間が図書館へ行かない、本を読まないではいけないと思います。インターネットはそれほどでもないと思っています。
 日本の全人口で、本屋さんへ毎日、定期的に行っている人が、はたしてどれぐらいいると思われますか? 皆さんは、作家デビューをしようとしている人なので、多分ひんぱんに行っていると思いますが、実は10人に1人しか、行っていないそうです。この中でいうと、40人いたら、4人しかひんぱんに行っていないということになります。今、何がはやっているのか気になるじゃないですか。気になった本は買う。そういうお金の使い方は、別におしくないのです。
 本屋さんを歩きながら、これも直感ですが、一期一会だと思っています。私が本を呼んだのではなく、本が私を呼んだのです。声が聞こえるのです。「私を買って下さい」「そうか」と勝手なトークをしています。読まなくてもいいのです。出会いですから、その日は読まなくても、もしかすると、1年後、2年後かわからない。恋愛と一緒で、今日、合コンして知り合いました。でもすぐに電話しないけれど、何か3年後に電話がかかってくる人いませんか? 出会ったことが大切。合コンで名刺交換したことが大切。
 本屋さんがすごく面白いのは、成甲書房の社長さんがおっしゃっていましたが、立ち読みはタダなんです。待ち合わせして、雨の日、こんないい場所はないですね。ドトールへ行くとコーヒー代かかりますよね。本屋さんはタダです。時間がつぶせて、よくデートの待ち合わせで、相手が遅れた場合でも、10分遅れたおかげで、こんな本に出会ったと思うのです。遅れてくれてありがとうといった感じです。本屋さんにヒントが転がっています。
 私がしたことは、この本だと思ったら、出版社の電話番号が本の後ろに載っているので、外の公衆電話から電話します。「私は、この本を読ませていただいた読者ですが、御社のファンですが、今、あたためている企画があるので、一度お会いしていただけないでしょうか」と、ここから入ります。これが野球でいうところの、バッターボックスに入るまでです。実はこの電話で決まります。電話はお互い知らないわけですから、よけいにわかります。電話の印象は必ず覚えています。16冊の本を出していて、30秒の電話で決まったのは、この『恋愛科学的就職内定術』(唐沢明・藤田徳人著/春風社)です。これは電話で決めました。
全然知らない出版社でしたが、残業して、夜8時ごろ家に帰った時、この横浜の春風社というところに、何か直感を感じました。ホームページを見て、すかさず電話して、即効で決まりました。
 これにもエピソードがありまして、北海道に住む、南極観測隊の方が、『今から作家!』を読んで、『面白南極料理人』(西村淳著/春風社)という本を出したそうです。この方からメールが来ていました。(春風社かぁ、就職、恋愛、始まるのは春だな、春風、横浜、山下公園、ベイブリッジ)そこで何かを感じました。春風社の営業部長が偶然電話に出て、「この企画があるのですが」というと、「面白そうですね。唐沢さん。じゃあ、来週お会いしましょうか」となり決まりました。だからどこにチャンスが転がっているかわかりません。
電話の低姿勢法というのは、電話は話す営業ではダメだと思います。相手の話を聞く。お笑いと同じで、絶対、かぶらない。松ちゃんと浜ちゃんはかぶりませんよね。ほとんど聞く。聞く技術がいります。
 編集者に会うことになったら、当然、向こうの指定した時間と場所に行きます。そこで、初対面で「仕事をください」と言おうとします。しかし、そこで考えて下さい。1冊の本を出すのにどれぐらいお金がかかると思いますか? 例えば5,000部刷るとして、400〜500万円かかります。デザイン料やマンガを入れると、600万円かかります。ということは、600万円払ってくれるわけです。そこで人間性が出ます。僕はどうしたかというと、「虎屋」のようかんを持っていきました。それがふいになることもあります。でも、企画書と名刺と、プラスアルファです。このプラスアルファに人柄が出るのではないかと思います。おおげさなものはダメですよ。私は菓子折りを持っていきました。
 1冊も本を書いていない人は、本当に書けるのかと編集者の方は思います。「唐沢さん、ためしに20ページ書いてくれませんか。来週の火曜日までに」こう言われます。そこで来週の火曜日まで20ページでいいのかと思ったら、それはイエローカードです。明日、あさってに40ページ書いていきます。倍返しです。そうしないと、20ページ書けと言われて、20ページ。与えられたことしかできないんだなと思われます。大事なことは、先ほどのようかんと同じように、ボランティア精神です。
 僕のモットーにしていることは、Give&Giveです。Give&Giveする人が、最後にTake&Takeできると思っています。僕はあまりGive&Takeは好きではないのです。これをやったから、これやってくださいは、あまり好きではありません。もう無償の愛です。それでダメだったらご縁がないということで、他の出版社を回ればいいわけです。
 営業術というのは、ポップを作るとか、チラシを自分で作るとか、そういうところから初めていけばいいのです。後は本ができあがったら、我が子を1人でも多くの人に見てもらうために、マスコミを自分で回るわけです。テレビ局、雑誌に電話をかけまくるわけです。これがマネージャー時代につちかった営業術です。こうやって初めて、書評に載ることになるのです。
『PANTO』(集英社)という雑誌があるのですが、ここで自分の本を宣伝してもらったり、これで本が売れたり、これをまたポップにできるわけです。編集者は、これは本がいいとか、内容がいいとか向こうは思わないのです。情熱です。全部。これは唐沢独自のことかもしれません。私は営業をやっている時も、「物を売るな、人を売れ」と思っていました。商品を売る前に自分を売れといつも思っていましたので、僕はPassionありきだと思います。
今日、僕がお話していることは、全部が全部、皆さんに当てはまることではないですし、学校、会社では教えてくれない、僕の目と耳と口と手と足で、学んだノウハウです。でも実際、僕の本を読んでこうして何名か本を出していただいているので、やっぱり間違いではないかなと思っています。本を出したいけど出していないという人は、どこかこういうPassionが、ちょっと足りないところがあるのではないかと思います。
これは『恋愛科学的就職内定術』にも書きましたが、合コンとかデートでも、早く彼女とエッチがしたい、エッチがしたいと思っていると、相手にわかります。編集者と交渉している時も、本を出したい、本を出したいというオーラをあまり出さないのです。あなたにメリットを与えますよ。得させますよ。「どんな得ですか」「講師をやっていますから、ラジオをやっていますから、そこで宣伝します。買い取ります」というふうにアピールします。だから出版社にメリットを与えないと、400〜500万円出してくれません。

A飲み屋。
ノミニケーション。飲んでいるということは、ナチュラルハイになっていますから、お互いにPassionが熱くなっています。そこで人間性が出ます。私は、和田さんに腰の低いヤクザと言われていまして、私は、みんなが持っていない資格があります。幹事検定準1級。僕が作りました。
 母親がスナックをやっていたこともあるのですが、飲みに行くのが大好きで、相手を喜ばせるスイッチが入ってしまう。僕は年下にはやさしく。年上には平気で突っ込みをいれたりします。本音でしゃべります。
これは何を売っているかというと、企画を売る前に、自分を売っているのです。編集者は、こいつは何とかしてやりたいなと思うそうです。唐沢という材料を何とか煮るなり、焼くなり、炒めるなりして、ちょっと世の中に出してやろうかなという気になるわけです。面白いやつだな。吉本興業にもいたのか、飯島愛のマネージャーもしていたのか、教科書業界にもいて、ベネッセにもいたのか、お前何やねん。渋谷にある居酒屋さんで、編集社の方が「何を飲みますか。僕ビールですけど」「僕は、トマトジュースと、冷やしトマト下さい」「トマトづくしですね。好きなんですか」「もう大好きですよ。トマトは生まれつき好きで、1冊書きたいんですよ」「えー、トマトで1冊ね。できるかな。ちょっと考えますけど、とりあえず乾杯」その他にもおつまみとか頼んでいいよと、「じゃあ、冷やしトマトをもう1つ」頼んで、そんなに好きなんだということで、ちょっと企画を考えようということになりました。企画をあげてくれて、居酒屋で企画が成立するわけです。

B電車中。
電車に乗ったら必ず中吊りを見て、これだと思ったら、すかさずメモ帳とパイロットのボールペンを出してメモをします。これをどう料理しようかなと、僕は電車の中では1人でぶつぶつ言っています。

C風呂場。
お湯も沸くし、アイディアもわく。両方沸騰。僕の頭は沸騰中。アイディア魔法瓶も大沸騰。就職活動の時は、面接の前の日は風呂場で、「私、駒沢大学の・・・」と練習していました。結構、風呂場に行くとスイッチが入ります。

D寝る前。
寝る前というのは人間が1番リラックスしている時なので、1回電気を消したけれども、急にひらめいたりします。

E職場。
A面にチャンスがあります。経理をやっている、コピーを取っていても、いろんな人に会って、そこからアイディアをもらえます。常にセンサーを働かせます。面白いことに、上司には内緒で本を書いていたとしても、上司がヒントをくれます。
『トマトがつくる“すっぴん美人”』(唐沢明著/KKベストブック)を作りましたが、KKベストブックに出会ったのが、上司の営業部長が、「唐沢くん、ちょっとこの本いいから読んでみて」と言われたのが、KKベストブックの本でした。何がヒントになるかわかりません。
雑誌の企画もそうです。7年前ですが、僕が最初にやった雑誌が、「今度、雑誌に出すことになったので、企画考えてくれよ、明日までに」「えっ!」「サラリーマンの間で、はやっているネタでいいんだよ」それは何だろうと考えた時に、僕の上司がサスペンダーをしていたなということで、「サスペンダー」がテーマになりました。ありそうでないテーマで、なさそうでありそうなテーマを、上司がヒントをくれました。

Fセミナー。
 作家になるための、このようなセミナーに通っていました。そこが、人脈と直結するかというと、それはしません。ヒントをくれるんです。だから、セミナーに行くのは僕は有効と思います。「企画は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ」

8.唐沢明のドミノ式デビュー法

「アイディア」
本を書くということは、好きなことをやるということです。1つは、本屋さんに行きなさいと言いましたが、本屋さんに行くと、ある1冊の本と出合いました。それが、1996年『めざそう!ナナメ出世』(杉山勝行著/ダイヤモンド社)という本でした。これは面白かったです。出世というのは、平社員、係長、課長、部長・・・となるのが出世ですが、ナナメとは? 世の中に出ることを出世という、と思ったのです。肩書きじゃないな。ナナメで世の中に出る。いろいろな達人たちがこの本には載っていました。私もこうなりたいと思い、それが最初のきっかけでした。
思ったら、即アクション。アクションを起こさないと、リアクションはありません。私はまず名刺を作りました。会社の名刺ではありません。26歳、作家でもないのに、作家:唐沢明。タレント:唐沢明。言葉には魂がありますから、出版していないのに、作家なんだと言っていました。
最近ヒットしている本で、『ツキを呼ぶ「口ぐせ」「思考ぐせ」』(佐藤富雄著/講談社)という本があります。本当にできるんだ。やれるんだ。もしくは過去形、やったんだ。出したんだ。社長なんだ。ビル建てたんだ。ベンツ買ったんだ。というと本当になる。私は最近、飲み屋で言っている口ぐせは、「早く銀座の料亭に行きたい」ということです。言葉には魂がありますから、言葉に出して言うということです。前向きな人には、前向きな人が集まってくる。前向きなチャンスが集まってくる。
私は浪人して、留年して、18歳の時に母を失って、もうこれは自殺しかないと思って、這い上がってきたので、もう前に行くしかない。私の友達には後ろ向きの人はいないと思います。言葉に出して言っていました。本でアイディアをもらいました。

「ツール」
次は、新聞社との出会いです。新聞に載ろうと思い、日経、朝日、読売など全部ファックスしました。どのネタで載ればいいかを考えて、朝刊に、「就職の達人、その心得は?」というタイトルで、26社に内定したというのを、やっと東京新聞に出ました。本名で出ていますが、大きな紙面でインタビューが載り、これを武器に出版社を回れます。
雑誌もやっていません。ホームページも作っていません。何もやっていないと、出すのはちょっと難しいのです。だから、こういう「ツール」を作っておきます。

「アタック」「セールス」
 次は、出版社との出会いです。出版社にアタックするのですが、出版社も4,000社ほどあるわけですが、ようするに1つ決まればいいのです。
 この『マスコミ就職・内定の法則77』を出版した、三一書房さんという、マニアックな出版社になぜ決めたのか。出版社30社に電話して、全滅でしたが、今まで時間とお金をかけてきたことにヒントがありました。
飯島愛のマネージャーをしていた時、私はいい意味で、ある事件を起こしました。それは、当時TVSでやっていた、『ダウンタウン汁』という番組があり、松ちゃん、浜ちゃんや、ダウンタウンのグループがラジオをやっている番組のゲストで出演させてくださいと、飯島愛を売り込むわけです。そうしたら決まりまして、打ち合わせをする時に、「どうもはじめまして、唐沢と申します。がんばりますので、よろしくお願いします。事務所の方針で、アダルトビデオのことは番組中、言わない方向になっていますから、それだけは松本さん、浜田さん、お願いします」と言ったら、松ちゃんが切れちゃったんです。「なんでやねん。元プロ野球選手の人が、野球の話をしないでくれというのと同じことやん。君はそこがあったから今があるんやろ。過去があったから今があるのに、なんでそういう過去のことを気にするんや」と言われました。「一応、セクシータレントということで売っていますので、AV女優の話はしないでください」とお願いしまして、ぶつぶつ言いながら、「わかった。わかった」と言って本番が始まりました。浜ちゃんは納得してくれているのですが、松ちゃんの方は、なんか本番がしっくりきていないんです。
一応、番組では何もなかったのですが、当時、『週刊朝日』で当時、松ちゃんが連載していまして、そのことを書いちゃったんですね。先日、俺の番組にこういうタレントが来た。元AV女優だけど、AV女優の話はしないでくれ。非常にやりにくかった。もう君とは一緒に仕事をしたくないから、二度と俺の番組に出てくるな。バカヤロー。ということが書いてありました。
 なんとそれが、大ベストセラー、『遺書』(松本人志著/朝日新聞社)に載りました。飯島愛とは書いていませんが、AV女優だけど、AV女優の話はしないでくれと。本音で書いてくれているし、僕はこれは嬉しかったのです。それ以来、ダウンタウンと飯島愛さんは共演していません。
これは、他の本にも書いているのではないかと思って、ダウンタウンが関西から状況してきた時の本、『ガキ兄弟』(東京ダウンタウン研究会著/三一書房)を読み、枕元で気になっていました。そして、後ろの奥付を見て、出版社に電話をしました。「『ガキ兄弟』を読みましたが、非常に面白かったのですが、あたためている企画がありまして、ぜひ」というところで、三一書房さんと出会いました。
電車の中吊りを見て、飯島愛のマネージャーになろうと思って、なって、仕事をとってきて、ちょっと書かれて、その書かれた本を調べていたのが、枕元にあって、その枕元の出版社が三一書房ということでした。
『マスコミ内定いただきます!<‘99>』(唐沢明著/鹿砦社)この中には読者ハガキが入っていると思います。読者ハガキを出して、私はこういうのを書きたいのですといっても通ります。
『マスコミ内定宣言2000』は、リクルートの『アントレ』という雑誌があって、私はこういう本を出したいんですがと言ったら、向こうからリクエストがあり、新聞社編、出版社編、放送・広告編ということで、3冊シリーズになりました。これは一気に3冊生まれました。これは持ち込みです。
『漢字雑学実力アップ読本』(唐沢明著/ぱる出版)、『作文・小論文の書き方・まとめ方』(唐沢明著/ぱる出版)これは持ち込みです。
『トマトがつくる“すっぴん美人”』これは上司が与えてくれた本です。
『今から作家!』総合法令さんは、知り合いの紹介です。
『人生はAV監督に聞け!』(唐沢明著/成甲書房)成甲書房さんは、自分からアタックしました。
『恋愛科学的内定術』これは南極の本がきっかけです。
何がどうなるかわかりません。だから、1冊出してしまえば、こっちのものです。
スイッチが入ったのは、憧れの飯島愛との出会いです。私のモットーは、人とは一期一会、これが最後なんだと思うことです。

9.作家で成功するためには

 作家で成功するためには、いったい何がいるのでしょうか。4ついります。「営業力」「企画力」「常識」「文章力」これは以外と皆さんが、「えっ、そんなのがいるの」というものです。
この4つですが、これには順位があります。どれが1番大切なのかということです。編集者の方がこの人だったらOKを出す順位はどれだと思いますか?
実は、「常識」が1番大事です。どういうことかというと、本というのは、1週間や1カ月でできないのです。長期マラソンです。6カ月〜1年ぐらい。恋愛と同じなんです。ですから、電話、手紙、メール、人間としてそういうことができないと、1回企画をパスしてもボツになる。だから常識というより、人間力。人間性。
 私がいろいろな塾生を教えていて、高飛車な人がいます。交渉する時に、「原稿料はお幾らですか」「印税は、20%ないとやりませんけど」お金の話をしたらアウトです。いうほど儲かりませんから。5,000部作って、1冊1,500円で、印税8%だと、50万円いきません。8%はいい方です。6%の場合もあります。本が出てから、3〜6カ月後に支払われるわけですから、その間、拘束されるわけです。でも我慢してそれですから、時間計算にするとマックのバイトの方が高いです。すぐに応対、リアクションしてくれる人。人間的にやりやすい人。僕も実際ボツになったものもありますが、編集者との相性もあります。
 そこで自分の人間性、ハートが出るわけです。自分で全部決められると思ったら大間違いです。私はデビュー作は、タイトル、装丁、中身、全部自分で決めさせてもらった、珍しい例です。出版社にお金があるかないかで決まります。僕が決めたタイトルは、半分もありません。それでダメですとは言えない。これは妥協できるけど、これはゆずれないところの交渉。
次は、「企画力」「営業力」です。
「文章力」が最後に来たのは、これはなんとかなります。しゃべってテープ起こししてくれる場合もありますし、あるいは、知り合いのライターに書いてもらうこともできる。しゃべれる人は書ける。だからどこでも書く。どこでもしゃべるという癖をつけた方がいいのです。

10.作家になってから

 作家になりました。めでたくデビューしました。そうすると周りが変わってきます。作家になりましたら、講師という話もあります。
 講師、テレビ、ラジオ、雑誌にも載るようになる。そうすると、1冊を生んだらどんどんついてきます。1冊出すと今度はこれを名刺にします。出版社に送ります。「27歳で本を出したのか。もしかしたらこの人化けるかも」と思わせたら時間とお金を今度向こうは投資します。
 今、出版業界は不況で、本当の作家からネタを探してしないのです。サラリーマン、OLからデビューしているわけで、私のモットーは全部すき間企画です。企画は2番せんじでは通りません。2番せんじだし、1冊も本を書いていませんでは、キャリアがないのに通りません。
『面接の達人』(中谷彰宏著/ダイヤモンド社)と違うところはありますか? と聞かれました。中谷彰宏さんは、OG、OB訪問での体験で、私は実体験というところで差別化しました。就職氷河期を中谷さんは、乗り越えていませんよね。バブルでした。必ず聞かれます。編集者の方に、「『面接の達人』との差別化は?」「私は氷河期を乗り越えました」「それはセンセーショナルですよね」となります。
『トマトがつくる“すっぴん美人”』はすき間ですね。これは業界初です。トマトで1冊というのはなかったのです。しかし、これは日本一売れなかった本です。多分出版業界ワースト1です。これが売れなかった原因は、トマトの本なのに、白黒である。なぜかというとお金がないからです。ところが、読者の食いつきは日本一悪かったのですが、マスコミの食いつきは日本一よかったのです。これだけマスコミに出て、売れていないのもめずらしいのですが。
 この後出た、『トマト革命』(石黒幸雄著/草思社)は5万部売れたそうです。
『今から作家!』は、働きながら実況中継式に書いたので、おかげさまで最初の刷りは、完売しました。
『恋愛科学的就職内定術』は、思ったより苦戦していまして、普通の就職本ではダメだと思い、恋愛にからめました。Love&Job Get。しかし、活字が多すぎて、本を読まない世代なので、時期も悪かったと思います。
『敬語スラスラブック』は売れないと思いましたが、1,000円で買えるということで、よかったのかもしれません。

11.どんなジャンルがいいのか。

アイディアを沸騰させてもらいたいのですが、ビジネス、健康、恋愛、資格、試験、趣味、エッセイ、こういうジャンルがあります。どのジャンルに挑戦するかということです。
今、求められているのは、ビジネス、健康です。特に女性は、恋愛の本を書きたいという人は多いです。恋愛をゴールにしたいという人は、まず他のジャンルで1冊出して下さい。それはすき間ネタで、例えば、介護、ペット、マニアックな資格、これだけは誰にも負けないというもので、まず書きます。
 私は、まず3つの箱を用意しなさいと言います。私の場合は、就職、トマト、占いです。私の特技に姓名判断があります。この唐沢明というのは姓名判断で、私が独自につけた名前で、今、成功しています。その前は、「せいのはじめ」で失敗して、チャゲ&飛鳥が好きで、「飛鳥明」これも止めまして、当時、唐沢寿明さんがドラマに出られていて、寿を取って、そこから唐沢明にしました。私は、占いの本を出したいのです。大学生にも占っています。これは自己分析にも使えます。私の下の名前は明で、本名です。
 トマトでダメだといってあきらめない。絶対次の箱を用意しておいてください。ビジネスの本で、やられたなと思ったのが、『週末起業』(藤井孝一著/ちくま新書)です。今、売れています。ビジネスはまだまだすき間ネタがころがっています。チャンスあります。マイナスなことが起こったら、それを逆手にとる。リストラ、クビ、こういう本が売れています。ニーズはあります。10年に1度、流行は繰り返します。

12.マメ人間のススメ。筆マメ、口マメ、足マメになること

 筆マメは、手紙など文章を書くのをめんどうくさがらないことです。
口マメは、誰かにしゃべる。
足マメは、こういう現場に行く。今、40人いらっしゃいますが、ここで聞いたら、それで終わる人がいます。そこで名刺交換する人もいる。そして、その先に行かないといけません。例えば、作家の先生に自分の作家の名刺を渡して、当時はメールがないので、手紙を書いて、そこから始まっています。そしたら2人で会い、企画をもらい、人脈を広げる。私の話を聞いて、スイッチが入ったのであれば、もういろんな横のつながりをつかまえていくというのが、本当だと思います。チャンスはころがっていると思うので、「筆マメ」「口マメ」「足マメ」のネットワークをフル回転させることができます。
自分の本は、自分の子供のようにかわいいので、お金のかからない営業法で、本のカバーを表も裏もプリントしてTシャツまで作りました。これが唐沢式営業術です。これを着て歩いていると、ただで宣伝できるわけです。どうみても、これを書いた著者と思うじゃないですか。表からも裏からも営業をさせていただこうかなと。ここまですると編集者も「唐沢さん、そこまでやっていただいているのに・・・」となって、どんどん本が生まれればいいかなと思っています。これからは、そろそろ私もベストセラーを出していきたいなと思っているので、実はネタを明かすと、来年、トマトのレシピ本をカラーで出そうかなと思っております。それで火がつくと嬉しいかなと思っております。
 私のお話がどこまで皆さんに、お役に立てたかわかりませんが、あくまでもこれは唐沢流の料理法、出版社アタック法ですので、これはいけるかなと思うものは、まねしていただいて、ちょっとこれはどうかなと思うものは、質問をしていただければと思います。本を出せば、いろんなメリットもあります。私はまだまだこれからいろんなジャンルの本を出していきたいなと思っています。講演も作家も両方を軸とした、生活をしたいので、この講演も開催できているわけですので、ぜひ私も皆さんにも、同じ業界でがんばっていきたいと思っております。

13.Q&A

@サラリーマン、OLだからこそチャンスがあるということですが、時間がある方が、チャンスがあるように思いますが。

 サラリーマン、OLというのは、働いているので、時間がないから逆に勢いというか、アイディアがわくと思います。のんべんだらりとしていては、アイディアがわいてこないと思います。目の前のこと、上司に怒られたこと、これもヒントになる。出世したこと、出張したこと、これもヒントになる。だから僕は、仕事日記をつけていました。書くということは、どういうことかというと、中谷彰宏さんもそうですが、仕事ですから、人間関係や、イヤな仕事などいろいろあります。それをどうしたかというと、書いてストレスを発散します。書いたものが就職活動中もイヤでしたが、イヤだったことを書いて、日記がこうして出版されているので、書いて残すことはやった方がいいかなと思います。
 忙しいというのは、多分言い訳です。忙しいから本を書く時間がないということは、ないと思います。忙しいからこそ、今のA面の仕事にチャンスがあると思います。忙しくなくなりましたと。1カ月間時間をあげます。企画を考えてください。その方がよけいに考えられないと思います。だから5時までにヒントがあるわけです。
 後は、週末の使い方です。ボーっとするのか、勉強会やセミナーに行くのか。自分にお金と時間をかけたものは必ず返っています。僕は給料を20代は、いろんなセミナーや本についやしてよかったなと思いますから、無駄はありません。
 あと1つ、師匠を持つことは大事だと思います。どんな人になりたいのか、僕は女性だったら、飯島愛。飯島愛のどういうところにほれたかというと、あれだけの崖っぷち人生から成り上がっていますよね。男でいうと、中谷彰宏さんだったのです。中谷彰宏さんも8年間、博報堂に勤めていて、イヤなことがあって、隠れながら書いていて、朝5〜6時台のラジオに出ていた。そのころから、この人だと思いましたから。絶対に中谷彰宏さんに追いつけ、追い越せというところはありました。中谷彰宏さんよりも作家デビューは1年早いです。だから、師匠を持つということはすごく大事だと思います。
 サラリーマンだからこそ、チャンスがあると思いますから、辞めないで、そのまま5時から作家になってもらいたいですね。

Aポジティブで前向きで、落ち込むことはないように思いますが、今でも落ち込むことはありますか? その時にどういうふうに自分自身のモチベーションをあげていらっしゃいますか?

 僕は人生で9割、落ち込んでいます。落ち込み人間です。それがあるから今がある。オフがあるからオンがあると思っています。大ピンチは大チャンスの前触れかなと思います。そういう経験をたくさんしてきていますので、だから、イヤなことがどんどんやった方がいいかなと思います。
 いろんなことを、ピンチ、トラブルが起こるということは、それだけ動いている証拠なんです。僕は自慢じゃないですが、トラブルメーカーです。でもそれは、言い返せます。これはトラブルがない人よりラッキーだと。動いているからです。結構芸能界や家庭環境がいつも変化していました。
 イヤなことがあったら書くということ。聞いてくれる人をそばにつけること。それは親友でも恋人でも家族でもペットでも。
 ピンチはチャンスの始まりで、本を書いたのは、トラブルやピンチが多いから、何で本屋に行くかというと、寂しいからです。誰かに俺は大丈夫なんだ。だから大丈夫だよ。君はうまくいくよと絶対というメッセージが欲しかったから、中谷彰宏さんにすがったのだと思います。全部が全部、起こることは必要、必然、ベストだと思います。
 だから僕はある意味、怖いものなしです。「わー唐沢先生、こんな本を出してすごいですね」という。でもこれは氷山の一角で、ここに見えないことはたくさんあるわけですから、それはどんな成功している人でもそうです。だから、「僕はすごいんだ」ではなく、そういう荒波を今越えて、今に至る。荒波大歓迎です。

B新聞に載ったということですが、どういうふうに新聞社に売り込みをされたのですか?

 これも電話術から始まります。多少はったりがいります。はったりといっても、相手をだますはったりではなく、朝日新聞でしたら、「いつも朝日新聞を拝読しております。ところで、ちょっと企画があるんですけれども・・・」そしたら企画を送ってくださいというので、その担当者名を聞いて、ファックスでその担当者名を書いて送ります。朝日新聞生活部御中ではダメですね。筆跡もその人の人間性が出るので、一字一句心をこめて書く。メール社会だからこそ、そういうふうなものを大事にした方がいいと思います。
なぜかというと、局長とかディレクターとか編集長というのは、メール世代ではないです。手紙世代ですから、忘れたころに暑中見舞いハガキや、年賀状を毎年書いています。目の前の小さいことをおろそかにしない人、手紙ぐらい、メールぐらいとか。そういうところがでますし、逆にそういうところを見られています。僕も若い人たちをそういう目で見ています。
ミステイクしたら、謝るかどうかでバンカーショットを切り抜けられます。小さいことを大切にしないと、大きなチャンスはやってきません。それは作家だけに限りませんが、書く仕事をしている作家だからこそ大切にしないといけないと思います。
 私の好きな言葉で、「神は細部に宿る」です。ミクロに宿るんです。電話の応対も、手紙のやりとりも、実は「なんだそんなこと、俺は本を出せればいいんだ」ではなく、その階段の積み重ねです。非常に私はマメです。
 これやられたら嬉しいんじゃないかなということをやりたい。芸人魂ではありませんが、京都に行ったら、京都の絵ハガキを買って、編集長に送る。それで認められなかったら、ご縁がないということです。
 まずは電話と手紙に始まり、電話と手紙に終わる。
 作家の人は本を出していくと、どんどん天狗になると思いますが、そうだったら依頼が来なくなります。だからいつも初心を忘れてはいけないなと思います。僕は書いてやっているとか思っていませんよ。書かせていただいている。と思っています。いつも仕事をいただいているという気持ちで、ノーギャラでもその仕事ができるかどうかです。
 自費出版というのがあります。自費出版も100〜200万円出せば、本屋さんに並びますが、ただ残念ながら業界的には、商業出版と違いますので、それを名刺代わりにできないです。自費出版1冊出したら、自費出版の世界でがんばって下さいと言われます。5万円でも15万円でも、できるだけお金をもらう方法でやって欲しいです。もしくは、誰かの著者の協力スタッフになることです。最初のページに名前が載る。こちらの方が実績になります。お金では買えないものを買って欲しいなと思っています。

Cフィクションにも応用できますか?

 同じことです。元々僕はフィクション、ノンフィクションに関わらず、両方やっていきたいなと思っています。目の前のところから始めていっているだけなので、両方応用できると思います。ただ文芸専門ではないので、詳しいことはお話できませんが、経歴にはなります。いきなり出版社に企画書を持っていった時に、経歴に何もない人よりも、何か関わったという方がいいです。書くということでは根っこは同じじゃないですか。書くというところにどこまで携わっているかというのを、向こうは見ますから。

Dフィクションを書く場合は、「常識」「企画力」「営業力」「文章力」というのは、順序が変わるのではありませんか?

そうですね。代わりますね。「文章力」「企画力」「常識」「営業力」でしょうか。常識が不必要というわけではありませんが、やはり文章力が上にきますね。

E書かれているジャンルがバラバラですが、デメリットにはなりませんか?

 実は、こう見えても、私はジャンルが固まっている方です。大きく分けたら、仕事と、トマトぐらいです。裏表紙にC−00**とありますが、ジャンル、大体僕は同じです。ビジネス、自己啓発、社会科学ということになります。もっとバラバラの人がいますよ。中谷彰宏さんは全部ありますよね。何でもありでいいと思います。書きたいものを書くという方向で、あえて、新しい箱を作った方がいいと思います。
 就職という箱を私は卒業したんだ。社会人の方に出したいんだというふうに、カラーを変えた方がいい。すき間を開拓。場合によって2冊目以上は、パクリでもいい。売れたもの勝ち。本はやってみないとわからないですね。
 後は、タイトルで8割決まります。タイトルで、この本のすべてがわかる、買いたい、読みたい、売りたいと思わせるかどうか。本を出すのが下手な人というのは、タイトルベタなんです。

(私には夢がある=岩ア:出版社側からの意見ですが、例えば、ジャンルのメリット、デメリットありませんかということですが、1冊売れた作家さんは、多分他のジャンルだと、最初本屋さんがイヤな顔をするというのは、事実あると思います。だけど、1冊目と2冊目が違うジャンルの人の方が本屋さんの期待値はあがります。出版社が唐沢さんのように、バラバラならいいのですが、出版社ごとに棚が分類されているので、作家さんの強い、弱いよりも、出版社の強弱があります。料理本に強い出版社が、ビジネス本を出すと、その本はなかなか置いてもらえないということはあります)

それも、ケースバイケースで、出版社が新しい分野とか、新規事業部を立ち上げたというのであれば、それはノリノリだと思います。私は最初ダイヤモンド社に就職の本を持っていったら、「それは中谷彰宏さんとかぶりますね」と言われました。同じ家の中で、二人が戦うというのは好ましくないという見方があって、三一書房さんはまったくこういうのは出していませんでしたが、面白いですね。新しいですねと思わせたら、それはそれでいけます。出版社のカラーというのも、場合によったらあると思いますが。

F買い取りのお話がありましたが、具体的にはどういうことですか?

 例えば、講師をしているとか、セミナーをしてその部数は大丈夫という、50部でも100部でもいい、見込み部数を聞かれます。それでどれだけ買い取ってくれるかということです。「ゼロです」と言ってもいいですが、一生懸命営業して、何とか今こういうところまでやっていますから、しばらくお待ちください。という前向きな精神を見せる方がいいと思います。
 今、買い取りは減っています。逆に印税を減らす方へいっています。出版社の方は、実売印税になっています。つまり売れた数だけです。印税で本を買える。プラスマイナスゼロぐらいだったら、私はありかなと思います。
 30万円の印税が入りました。会社に配ります。チェーン店にまきますから。知っているところが研修会社なので、研修に使いますからというところで、30万円使う。それぐらいはいいのではないかなと思います。作家の方は、営業は出版社まかせです。バトンを渡します。私はバトンを渡したくなかったのです。自分の子供は、自分で売る。そういう熱意があるかどうかにもつながります。赤字にならなければ、買い取りはできる範囲でやるべきだと思います。
 自費出版の場合は、全部自分でお金を払うので、リスキーかなと思います。

Gどういうセミナーへ行かれましたか?

 社会人プランナー講座というのがありまして、要するに社会人になりながら、プランナーになっていこうという講座です。私は元々放送作家になりたかったので、六本木や表参道にある、放送作家スクールに行きまして、シナリオって難しいなと思い、そこで挫折しました。でも書くことにはどうしても執着があったので、そこで選択できます。作家の講演会に言って、作家の講演会でサインしてもらう。そのオーラをもらうとか、それだけでもずいぶん違います。だから、ビビビットきて、直感だなと思ったセミナーには通います。私が多かったのは、自分自身のアイディアを形にできるようなライター講座、プランナー講座、作家自身がやっているトークショー。ああいうのは好きでした。中谷彰宏さんのセミナーに行ったら、99%女性です。私は中谷さんに名前を覚えられたぐらいでした。そのぐらいこの人だと思ったら、いろいろ言った方がいいかと思います。それが必ずしも形になるとは限りませんが、でも、どこでどうなるかわかりませんので。